2015年 09月 15日
『ひな菊の人生』
『ひな菊の人生』を読むのは2回目か3回目だと思うのだけど、
まったく内容を覚えていなかった。
たぶん、これまでは読んでもピンとこなかったからだろうと思う。
でも、地に足をつけて働き、命との出会いと別れを何度も繰り返すうちに
じわじわとこういう小説の意味が分かってくる。
小さな断片のような物語だけれど(批判的な意味ではなく)、
「あぁ、誰かが世界のどこかで毎日せっせと焼きそばを焼いているように、
私も毎日できることを続けていくんだ」
としんみり思う。
生きている間はやりたいことを誠実にやるのだ、と。
そしてまた、
しばらく会っていない友人に、久しぶりに連絡してみようか。
とも思う。
私はリアリストだから、よしもとばななの描写には時々実感が伴わないこともあるけれど、
(それでも彼女の世界観が好きだ)
ただ「面白かった」で終わらない、
人の心に、時には行動にまで影響を与える物語を生み出す力は
やはり現代の小説家の中では群を抜いていると思う。
(反対に、「面白い」を突き詰めているのが伊坂幸太郎で、
彼の小説を読んでいると、その展開の上手さに、彼のドヤ顔が目に浮かぶようだ。
あぁ、新しい陽気なギャングシリーズが読みたいなぁ。)
by necochan2010
| 2015-09-15 20:10
| 読書感想文
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